道端のきれいな花、実は猛毒かも? 知っておきたい、子どものための有毒植物
公園で見かけるきれいな花、お庭を彩る鮮やかな葉。私たちの周りには、心を和ませてくれる植物がたくさんありますね。でも、その美しい姿の裏に、思わぬ危険が潜んでいることもあります。特に、好奇心いっぱいの小さなお子さんは、色や形に惹かれて、つい触ってしまったり、口に入れてしまったり…なんてことも。
この記事では、私たちのすぐそばにある有毒植物の種類やその怖さ、そして、もしもの時の正しい対処法について、小児科のほむほむ先生と研修医のA先生が、皆さんと一緒に学んでいきます。
公園でのヒヤリ体験…それって有毒植物?
ある日の昼下がり。小児科の研修医、A先生が少し強張った表情で、指導医のほむほむ先生のデスクにやってきました。
A先生「ほむほむ先生、ちょっとご相談したいことがあるんですが…今、お時間よろしいでしょうか?」
ほむほむ先生「やあ、A先生、どうしたの?」
A先生「実は昨日、公園を散歩していたんです。そしたら、小さなお子さんが、道端に咲いていた可愛らしいピンク色の花に手を伸ばしていて…親御さんも少し目を離していた瞬間だったんですが、ハッとしたんです。もしかしたら、あれって毒のある植物だったんじゃないか…?って。幸い、お子さんは口に入れる前に親御さんが気づいたんですが、ヒヤリとしてしまって。」
ほむほむ先生「A先生、とても大切な視点だね。そうなんだ、私たちの身の回りには、本当に美しいけれど、実は危険な毒を持つ植物が決して少なくない。特に小さなお子さんは、見た目の魅力に抗えず、触れたり、口に運んでしまったりすることがあるからね。だからこそ、保護者の方が正しい知識を持つことが、何よりも重要なんだ。直接口にしなくても、植物の汁に触れてかぶれることもあるし、様々なケースが考えられる。今日はせっかくだから、A先生が気になった『身近な有毒植物』について、そして万が一の時の対処法について、一緒に学んでいこうか。」
A先生「はい!ぜひお願いします!今日の勉強で、ちゃんと患者さんや親御さんに説明できるようになりたいです!」
この記事を最後まで読んでいただければ、きっとこんな疑問がスッキリするはずです。
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そもそも、どうして植物って毒を持ってるの?
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うちの周りにもある?特に注意すべき有毒植物ってどんなもの?
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もし子どもが口にしちゃったら、どうすればいいの? 正しい応急処置って?
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どうすれば、そんな怖い事故を未然に防げるの?
さあ、一緒に見ていきましょう。
身近な植物の危険性:意外と多い、子どもの誤食事故
A先生「特に今の季節は色々な花が咲いていて、歩いているだけでも楽しいですね。」
ほむほむ先生「うんうん。でもね、そんな美しい植物たちの中には、実は危険な毒が隠れているかもしれないってこと、A先生はどのくらい意識していたかな?」
A先生「正直、漠然とは知っていましたが…。昨日公園での一件があって、改めて実感したというか…。最近、ニュースで『アジサイを大葉と間違えて食中毒』なんて話も耳にしました[1]。」
ほむほむ先生「そうだね。アジサイの葉と大葉の取違いは起こり得る事故の一つですね。実はね、日本で起きる植物による食中毒は、特に小さなお子さんの事故が後を絶たないんだ。」
A先生「ええっ、そんなに多いんですか…? 私が想像しているよりも深刻なのかもしれません。」
ほむほむ先生「そうなんだ。厚生労働省の食中毒統計資料によると、令和5年には植物による食中毒が全国で44件も発生していて、114人もの方が被害に遭い、残念ながら亡くなった方も1名いらっしゃる[2]。過去30年間で見ると、死者は23名にも上るんだ。」
A先生「亡くなった方まで…! 本当に深刻ですね…。子どもって、本当に何でも口に入れちゃいますから…。」
ほむほむ先生「まさにその通りでね。日本中毒情報センターに寄せられる相談の中でも、5歳以下のお子さんに関するものが、全体の約7割を占めているというデータもあるんだ[4]。」
A先生「7割ですか!やっぱり、何でも手にとって、確かめたい盛りだからでしょうか…。」
ほむほむ先生「うん。旺盛な好奇心から、色鮮やかな実や花をつい口に入れてしまう。そして、大人に比べて体が小さいから、同じ量を摂取しても、子どもにとってはより深刻な症状に繋がりやすい。だからこそ、周りの大人がしっかりと知識を持って、子どもたちを守ってあげることが何よりも大切なんだよ。」
A先生「なるほど…。確かに、体重が軽い分、毒の影響も大きくなりやすいというのは、改めて考えると当然ですよね。」
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