帯状疱疹は、なぜ増える?今後「定期接種」になる予定の帯状疱疹の基礎知識
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、その人の神経に潜んでいる「水ぼうそうの原因ウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)」が再活性化して起こる皮膚の病気です。成人の約3人に1人が経験するといわれる痛みを伴う疾患で、年齢とともに免疫力が低下する(これを「免疫老化」と呼びます)ことでリスクが高まるとされています。
痛みが長く残る場合があり、ピリピリ、ジンジン、ズキズキ、チクチク、場合によっては、焼けるような、刺すような、電気が走るようなといった表現をされる方もいらっしゃいます。
できれば罹りたくありませんよね。そんな帯状疱疹が最近、世界的に増えていると考えられています。
帯状疱疹の発生率増加と背景要因

イラストAC
帯状疱疹の発生率は、世界的に見ても増えていることが報告されています。
例えば米国では、1990年代から2000年代にかけて年間の発生率が大きく上昇し、米国の35歳以上の集団では1993年に1,000人あたり2.5人だった発生率が2006年には6.1人、2016年には7.2人へと増加したという大規模な研究結果があります[1]。
日本でも同様の上昇傾向が見られます。
宮崎県での20年間の疫学調査(宮崎スタディ1997–2017)によると、年間の平均発症率が1000人あたり4.69人で、調査期間中に約68%も上昇したことが報告されています[2]。年間に4.69人ですから、毎年増えていくわけです。4.69人は少なくありませんね。
特に50代以降で急増し、60代で発症数のピーク(発症率のピークは女性70代、男性80代)を迎え、高齢になるほどリスクが高まることが示されました[2]。
なぜ、帯状疱疹が増えているのでしょうか?
米国疾病予防管理センター(CDC)では、帯状疱疹の罹患率が徐々に増加している原因は明確には分かっていないと述べており[3]、厚生労働省も「高齢化や水痘流行動向だけでは説明できない」としています[10]。
ひとつだけの原因ではなく、複数の原因が絡んでいると考えられます。
では、どんな理由があると推測されているのでしょうか?
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