帯状疱疹は、なぜ増える?今後「定期接種」になる予定の帯状疱疹の基礎知識

帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、大人では約3人に1人が経験するとされる皮膚の病気です。多いですよね。あなたの身の回りでも、罹った方がいらっしゃるのではないでしょうか? 帯状疱疹は世界的に増えていると考えられています。そこで今回は、帯状疱疹が増えている背景から予防法までわかりやすく解説します。
堀向健太 2025.02.19
サポートメンバー限定

帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、その人の神経に潜んでいる「水ぼうそうの原因ウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)」が再活性化して起こる皮膚の病気です。成人の約3人に1人が経験するといわれる痛みを伴う疾患で、年齢とともに免疫力が低下する(これを「免疫老化」と呼びます)ことでリスクが高まるとされています。

痛みが長く残る場合があり、ピリピリ、ジンジン、ズキズキ、チクチク、場合によっては、焼けるような、刺すような、電気が走るようなといった表現をされる方もいらっしゃいます。

できれば罹りたくありませんよね。そんな帯状疱疹が最近、世界的に増えていると考えられています。

帯状疱疹の発生率増加と背景要因

イラストAC

イラストAC

帯状疱疹の発生率は、世界的に見ても増えていることが報告されています。

例えば米国では、1990年代から2000年代にかけて年間の発生率が大きく上昇し、米国の35歳以上の集団では1993年に1,000人あたり2.5人だった発生率が2006年には6.1人、2016年には7.2人へと増加したという大規模な研究結果があります[1]。

日本でも同様の上昇傾向が見られます。

宮崎県での20年間の疫学調査(宮崎スタディ1997–2017)によると、年間の平均発症率が1000人あたり4.69人で、調査期間中に約68%も上昇したことが報告されています[2]。年間に4.69人ですから、毎年増えていくわけです。4.69人は少なくありませんね。

特に50代以降で急増し、60代で発症数のピーク(発症率のピークは女性70代、男性80代)を迎え、高齢になるほどリスクが高まることが示されました[2]。

なぜ、帯状疱疹が増えているのでしょうか?

米国疾病予防管理センター(CDC)では、帯状疱疹の罹患率が徐々に増加している原因は明確には分かっていないと述べており[3]、厚生労働省も「高齢化や水痘流行動向だけでは説明できない」としています[10]。

ひとつだけの原因ではなく、複数の原因が絡んでいると考えられます。
では、どんな理由があると推測されているのでしょうか?

  『ほむほむ先生の医学通信』では、小児科学会やアレルギー学会などの委員を務め、25年以上の臨床経験を持つ小児科医が、2000本以上の医療記事で培った医学知識をわかりやすく解説します。最新の研究結果や日々の診療から得た知見を毎月4~8本の記事を直接お届けしています。サポートメンバーが増えてきたことで、無料記事もお届けできるようになってまいりました。ありがとうございます。サポートメンバーに登録すれば、全ての記事と過去のアーカイブに全てアクセス可能です。ぜひご登録ください。※ この記事の続きは会員限定です。登録後すぐに全文をお読みいただけます。  

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、5854文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

提携媒体・コラボ実績

サポートメンバー限定
牛乳を飲むと背が伸びる?
サポートメンバー限定
高層マンションに住むのは健康へのリスク?
読者限定
ノロウイルスにかかりやすい人とは?ノロに関するよくある質問にお答えしま...
サポートメンバー限定
子どもに魚を食べさせると頭が良くなる?子どもにおすすめの魚とは
サポートメンバー限定
ピアノを習うと知能や運動能力が上がるって、本当?
サポートメンバー限定
急増する木の実類アレルギー。その理由は?
読者限定
小児白血病に使用される「キムリア」とは?高額でも重要な治療方法と開発史...
読者限定
人間・犬・猫、嗅覚はどれくらい違う?未開封のペットフードのニオイを見破...