アガベシロップの低GI値、本当のところは?
最近、スーパーで「アガベシロップ」や「デーツ」なども見かけることが増えましたね。
アガベシロップは、メキシコを中心に育つリュウゼツラン(アガベ)という植物の樹液から作られた甘味料です。
テキーラのお酒の原料としても有名なアガベから取れる樹液を、熱や酵素で処理すると、主成分の食物繊維(イヌリン)が果糖(フルクトース)と少量のブドウ糖に分解されます。
アガベシロップの特徴は、とても甘いことです。普通の砂糖(ショ糖)の約1.3〜1.5倍も甘いので、少しの量で十分な甘さを感じられます[1]。
では、デーツはどんな甘味料でしょう。
デーツは、ナツメヤシという植物の実を乾燥させたものです。中東地域では6000年以上も前から食べられてきた歴史があります。
「天然のキャンディー」とも呼ばれるほど甘くて濃厚な味が特徴です。古代エジプトの女王クレオパトラも大好きだったという話が残っているほど、昔からとても価値のある食べ物だったのだそうです[2]。
デーツには、ブドウ糖と果糖がほぼ同じ量含まれています。また、食物繊維、カリウム、マグネシウムなどのミネラル、体に良いポリフェノールという抗酸化物質もたくさん含まれています[3]。
アガベシロップやデーツが認知されるようになったのは、「健康への配慮」でしょう。
「アガベシロップはGI値が低いから血糖値を上げにくい」「デーツは自然の果物だから体に良い」という話をよく聞きますが、本当でしょうか。
今回は、アガベシロップとデーツに関して、科学的に考えてみましょう。
アガベシロップやデーツは本当に血糖値を上げないの?

ChatGPTで作画
アガベシロップはGI値が低い?
GI値とは、食品に含まれる炭水化物が血糖値をどのくらい速く上昇させるかを示す指標です。ブドウ糖または白パンを基準(GI=100)として、それに対する割合で表します。GI値が低い食品は、血糖値がゆっくり上がるとされています[4]。
アガベシロップのGI値(グリセミック・インデックス)は、だいたい10〜27程度と言われています[5]。蜂蜜のGIは67〜93、精製された砂糖であるグラニュー糖のGI値は60前後とされていますので、だいぶん低いですね[6][7]。
アガベシロップのGI値が低い理由として、主成分の果糖がブドウ糖と違って、インスリンというホルモンの分泌をあまり刺激せず、血糖値を急に上げにくいからだという、マウスの実験があるようです[8]。
でも、GI値が低いからといって、血糖値に影響がないわけではありません。アガベシロップも糖質なので、食べれば最終的には血糖値は上がります。
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