おたふくかぜワクチンは、なぜ定期接種にならないのか?|第4回
おたふくかぜは、唾液腺という唾液(つば)を作る組織に炎症を起こして腫れるウイルスによる感染症です。
おたふくかぜによる耳下腺腫脹https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Parotiditis_%28Parotitis;_Mumps%29.JPG Select an Image
東京都では、2009~2010年に大きな流行が発生し、その5年後になる2015~2016年にも流行が認められました[1]。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/mumps-m/mumps-iasrtpc/6822-440t.html
すなわち、おたふくかぜは、5年ほどの周期で流行を繰り返すことが知られているのです。
では、2021年前後におたふくかぜは流行したのでしょうか。
いまのところ、その流行は起こっていません。
このまま流行せずに済むのでしょうか?
おたふくかぜの流行が近づいている
おたふくかぜのウイルスは、咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことによる感染(飛まつ感染)、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる感染(接触感染)により広がります。
すなわちコロナ禍における感染対策で、さまざまな感染症が減っていたことは皆さんもよくご存知のことと思います。
では、このままおたふくかぜは流行せずに済むのでしょうか?
そうはならないでしょう。
すでに、さまざまな感染症が再拡大していることは、このニュースレターでもお話いたしました[2]。
そして、日本におけるおたふくかぜワクチン接種率が約40%と低いです[3]。 しかしおたふくかぜの流行を抑制するために必要とされる集団免疫率は88~92%とされています[4]。
すなわち、今後、日本で『流行しない理由がない』のです。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎・ムンプス)とは?
おたふくかぜ(ムンプス)は、ムンプスウイルスによる感染症です。
おたふくかぜウイルスは、唾液がしぶきとしてひろがる飛沫感染を起こします。一般的に潜伏期間は2~3週間(16~18日)程度です。
感染しても30%程度の方には症状がでませんが、年齢が高くなるほどはっきり症状がある方が増え、4歳を越えると90%がなんらかの症状を示します[5]。
おたふくかぜウイルスは、唾液腺のうち、耳下腺が腫れることが多く、医療用語としてはムンプスとか流行性耳下腺炎と呼ばれています。
おたふくかぜウイルスは、体の中の様々な組織に侵入していき、さまざまな合併症を引き起こすことが知られています[6][7]。
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- おたふくかぜの合併症って?
- 世界における、おたふくかぜワクチンの普及
- おたふくかぜワクチンに『ギャップ』が生まれた理由
- 海外で主流になっている『Jeryl Lynn株』
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