温暖化が進み永久凍土が解けると新種ウイルスが蔓延するのか?現時点でいえることを医師が解説

地球温暖化で永久凍土が溶け、昔のウイルスが再び表に出るかもしれない――そんな話を耳にしたら、不安になりませんか?本当に人間に感染するのか、研究や対策はどうなっているのか、最新の情報をわかりやすく解説します。
堀向健太 2024.12.18
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先日、「疾病X」に関する記事をみていただいたニュースレターの担当者の方から、「先生、永久凍土が溶けて昔のウイルスが出てきて、人間に感染するかもしれないって聞いたんですけど、本当なんでしょうか?」というご質問をいただきました。

なるほど、最近は地球温暖化や環境問題がニュースで取り上げられることが多く、そんな不安を持つ人も少なくないかもしれません。[1][2]

永久凍土って何でしょうか?

PhotoAC

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まず、「永久凍土」についておさらいしましょう。

永久凍土とは、2年以上連続して土壌が凍ったままの状態を指し、北極圏やシベリアなどの極寒地域に広がります[3]。

この極寒の大地は、昔から数万年単位で微生物やウイルスを閉じ込めてきた「天然の冷凍庫」ともいえる存在です。[4]

ところが近年、地球温暖化による気温上昇が原因で、永久凍土が少しずつ溶け始めています。これによって、昔の世界に存在していた微生物やウイルスが、現代の環境へと解き放たれる可能性があると考えられています。[5][6]

古代ウイルスの「復活」とは?

DALL-E3で作画

DALL-E3で作画

実際、シベリアの永久凍土から数万年前の巨大ウイルスが発見され、実験室で培養に成功したという報告があります。たとえば、「ピソウイルス」や「モリウイルス」といった(ウイルスとしては)非常に大きなウイルスが、アメーバに感染することが確認されました。
この発見は、「永久凍土に閉じ込められた古代ウイルスが、現代でも活動できる可能性」を示しています。[7]

こうした古代ウイルスは、メディアで「ゾンビウイルス」と呼ばれることもありますが、現時点で「人間に直接、すぐに感染する」という確たる証拠はありません[8]。

ただし、未知の存在があることは間違いなく、地球温暖化による環境変化と相まって、どのような影響が出るかはまだ明らかになっていません。

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