世界で感染拡大がはじまっている『マイコプラズマ』。日本で感染拡大する前に。

2023年に世界各地で急増し『原因不明の肺炎』ともいわれたマイコプラズマ。日本でも感染拡大が近づいているかもしれません。マイコプラズマは細菌のひとつと認知されたのは50年ほど前です。なぜなかなか見つけ出せなかったのでしょうか?
堀向健太 2024.03.06
読者限定

今後、流行してくることが予想される『マイコプラズマ』。

PhotoAC

PhotoAC

コロナだけではなく、インフルエンザや溶連菌、アデノウイルスなど、様々な感染症が流行しており、小児科外来はごった返しています。

様々な感染症が流行っているという状況で、どの感染症なのかを鑑別していくのはなかなか難しいものです。単純なクロスワードパズルを解くのと、要素がたくさんあるようなクロスワードパズルを解くのと、全く違いますよね。

イラストAC

イラストAC

そして、最近、その鑑別する疾患として『マイコプラズマ』を見かけはじめました。

まだ日本ではすごく増えているという状況ではなさそうですが、これから増加してくることが予想される感染症といえます。


2023年の秋に、中国で『原因不明の肺炎』が流行しているという報道があったのを覚えていらっしゃる方もいるでしょう。どうも、その感染症はマイコプラズマではないかと考えられています。

そもそも世界では、マイコプラズマによる肺炎は3~7年ごとに流行してきました。そして流行は1~2年続きます[1]。
しかし、しばらく流行しなかったので、多くのひとが免疫を十分にもっていない状況になりました。

そして、感染が大きく拡大する素地ができているのです。

たとえば中国の北京では、2023年には9月に大きく患者数が増加しました。外来患者の25.4%、入院患者の48.4%、呼吸器疾患患者の61.1%が肺炎マイコプラズマに感染していたそうです。

そして  、世界の各地でマイコプラズマが流行しました。

若手小児科医に聞くと、『マイコプラズマをみたことがない』といいます。それだけ感染の流行が少なかったのです。しばらく感染の流行がなかったぶん、日本でも大きな流行になったり、重症化する可能性が懸念されます。

マイコプラズマという少し聞きなれない名前かもしれません。しかし、そもそも、子どもの肺炎の原因として多い原因微生物のひとつがマイコプラズマです。

マイコプラズマは、ウイルスや細菌のちょうど真ん中ぐらいの性質を持っており、昔の方々もなかなか捕まえることが難しく、それを最終的に見つけるまで、それが認められるまでにはかなりの時間を要しました。

では最初に、マイコプラズマの発見の歴史からお話しましょう。

***

このニュースレターでは、さまざまな子どもやアレルギーに関する医療情報を豊富な出典に基づき配信しています。継続的に記事を受け取りたい方は、 メールアドレスを登録していただくことで 次回以降 メールで記事を お届けすることができますので、よろしければご登録をよろしくお願いいたします。  

この記事は無料で続きを読めます

続きは、4814文字あります。
  • マイコプラズマの発見と、その歴史。
  • 動物の胸膜肺炎の原因としてみつかったマイコプラズマ・ミコイデス
  • 人間に感染し肺炎の原因になるマイコプラズマ・ニューモニエ
  • 細菌としてマイコプラズマが認められるまで:ディングルとイートンの確執?
  • マイコプラズマの検査は、いまもちょっとだけ難しい

すでに登録された方はこちら

読者限定
【溶連菌理解】増えている『侵襲性溶連菌感染症』。なぜ増えている?予防は...
読者限定
学校給食で起こった『集団びわアレルギー』。126人のすべてがアレルギー...
読者限定
扇風機を取り付けたベビーカーは、熱中症予防に有効ですか?
読者限定
【閲覧注意】今まであまり診なかった、さまざまな皮疹を起こす手足口病が増...
誰でも
痛くない「鼻スプレー」インフルワクチンは、いかに認可までたどりついた?...
読者限定
ステロイド点眼液には、重要な注意点があるという話
読者限定
花粉症の時期の目のまわりの湿疹、どうすればいいですか?
読者限定
スギ花粉症の発見と対策の歴史。スギ花粉のシーズンが始まる前に。|第10...