世界で感染拡大がはじまっている『マイコプラズマ』。日本で感染拡大する前に。
今後、流行してくることが予想される『マイコプラズマ』。
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コロナだけではなく、インフルエンザや溶連菌、アデノウイルスなど、様々な感染症が流行しており、小児科外来はごった返しています。
様々な感染症が流行っているという状況で、どの感染症なのかを鑑別していくのはなかなか難しいものです。単純なクロスワードパズルを解くのと、要素がたくさんあるようなクロスワードパズルを解くのと、全く違いますよね。
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そして、最近、その鑑別する疾患として『マイコプラズマ』を見かけはじめました。
まだ日本ではすごく増えているという状況ではなさそうですが、これから増加してくることが予想される感染症といえます。
2023年の秋に、中国で『原因不明の肺炎』が流行しているという報道があったのを覚えていらっしゃる方もいるでしょう。どうも、その感染症はマイコプラズマではないかと考えられています。
そもそも世界では、マイコプラズマによる肺炎は3~7年ごとに流行してきました。そして流行は1~2年続きます[1]。
しかし、しばらく流行しなかったので、多くのひとが免疫を十分にもっていない状況になりました。
そして、感染が大きく拡大する素地ができているのです。
たとえば中国の北京では、2023年には9月に大きく患者数が増加しました。外来患者の25.4%、入院患者の48.4%、呼吸器疾患患者の61.1%が肺炎マイコプラズマに感染していたそうです。
そして 、世界の各地でマイコプラズマが流行しました。
若手小児科医に聞くと、『マイコプラズマをみたことがない』といいます。それだけ感染の流行が少なかったのです。しばらく感染の流行がなかったぶん、日本でも大きな流行になったり、重症化する可能性が懸念されます。
マイコプラズマという少し聞きなれない名前かもしれません。しかし、そもそも、子どもの肺炎の原因として多い原因微生物のひとつがマイコプラズマです。
マイコプラズマは、ウイルスや細菌のちょうど真ん中ぐらいの性質を持っており、昔の方々もなかなか捕まえることが難しく、それを最終的に見つけるまで、それが認められるまでにはかなりの時間を要しました。
では最初に、マイコプラズマの発見の歴史からお話しましょう。
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