妊娠中の魚選びでアレルギー予防?オメガ3と水銀の知っておきたい新常識
今月4本目の記事です。今回も、豊富な出典とイラストをつけた掘り下げ記事をお届けします。
一本一本、医学雑誌のレビュー並みに力を込めています(笑)。
小児科専門医として多くのお子さんを診ているほむほむ先生のもとに、今日も研修医A先生がやってきました。今回のテーマは、アレルギー予防における「魚と油」の意外な関係。
デンマークでの成功例と、日本人ならではの注意点——さまざまな研究結果を紐解きながら、「賢い魚の食べ方」を分かりやすくお届けします。
本記事を最後まで読めば、
・オメガ3とオメガ6のバランスが重要な理由
・日本人が特に気をつけたい水銀のリスク
・妊娠中や離乳食で選ぶべき「最適な魚」の種類
これらの疑問にお答えできるように作成しました。
「オメガ3脂肪酸」の基礎知識
nano-bananaで作画
A先生「ほむほむ先生、お疲れ様です!ちょっとお時間いただいてもよろしいでしょうか」
ほむほむ先生「もちろん。今日はどんなことを聞きたいのかな?」
A先生「実は最近、外来で『子どもが喘息にならないように、妊娠中からできることはありますか?』と聞かれることがあって……。先日も、初めてのお子さんを授かったお母さんが、真剣な表情で相談してくださったんです」
ほむほむ先生「なるほど。どんな様子だったの?」
A先生「『ひどい喘息だったので、子どもには同じ思いをさせたくない』っておっしゃっていて。でも、うまく答えられなくて……。魚に含まれるオメガ3脂肪酸がキーワードだと教わったのですが、詳しく教えていただけますか?」
ほむほむ先生「それは素晴らしい質問だね。保護者さんの関心も高いトピックだし、実はとても奥が深いんだ。まず、オメガ3脂肪酸について整理しておこうか。大きく分けて3つの種類があるんだ[1]」
A先生「3種類ですか?」
ほむほむ先生「そう。青魚に多いEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)、そして亜麻仁油やエゴマ油などに含まれるALA(αリノレン酸)がある。このうち、ALAは僕たちの体内で合成できない『必須脂肪酸』なんだ[1]」
A先生「ALAが必須……ということは、EPAやDHAは体内で作れるんですか?」
ほむほむ先生「いい質問だね。実は、ALAを原料にして体内でEPAやDHAに変換することはできるんだ。ただし、その効率がとても低いことが分かっている。だから実用的には、EPAやDHAは魚などから直接摂取することが推奨されているんだよ[1]」
nano-bananaで作画
A先生「なるほど。理論上は作れるけど、実際には食事から摂る必要があるということですね」
ほむほむ先生「その通り。NIH(米国国立衛生研究所)の解説でも、EPA・DHAは主に魚介類から摂取することが勧められているよ[1]」
A先生「DHAは頭が良くなる、EPAは血液がサラサラになる、というイメージを持っていました。アレルギーにも関係があるんですか?」
ほむほむ先生「そうなんだ。EPAやDHAは、炎症性メディエーターの産生バランスに影響しうることが示されていて、アレルギー疾患の一部ではリスク低下や症状改善が報告されているんだ[1][2]。ただ、効果は疾患や条件によって異なるから、万能というわけではないけどね」
A先生「炎症のバランスに影響する、ということですね」
ほむほむ先生「そう。面白い研究があってね、日本の国立医薬基盤・健康・栄養研究所や東大のグループが2019年に報告したんだけど、食事でオメガ3を摂ると、体内で15-HEPEというEPA由来の物質が作られて、マウスのアレルギー性鼻炎が軽くなることが分かったんだ[3]」
nano-bananaで作画
A先生「EPA→代謝産物→症状軽減、という道筋があるんですね!」
ほむほむ先生「その通り。しかも、好酸球——アレルギーでよく増える白血球の一種——がその抗アレルギー物質を作ることに関わっているという、なんとも興味深い発見だった[3]。ただ、ここで大事なのが、オメガ6脂肪酸とのバランスなんだ」
A先生「バランス、ですか……?オメガ6も聞いたことはありますが、詳しくは知らなくて」
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