赤ちゃんが続けて8時間寝ていたら起こすべき?
今月8本目の記事です。最近、「赤ちゃんが続けて寝る時間」に関してXで話題になっていたみたいです。そんな中で、A先生もそのポストを見かけたみたいですね。
小児科研修に励むA先生。ある日の昼休み、スマホを眺めていると、ふと目に留まったSNSの投稿に考え込んでしまいました。
A先生「(うーん…『生後2ヶ月の娘が、昨夜初めて8時間ぶっ通しで寝てくれた!嬉しいけど、起こさなくて大丈夫だったのかな?』か…。たくさんの『いいね』がついてるけど、コメント欄は賛否両論だなあ…)」
多くの親が同じように悩み、そして喜んでいる様子。しかし、もしこの赤ちゃんが生後1ヶ月にも満たない新生児だったら、答えは同じでいいのだろうか? 先日、外来で新米ママから受けた切実な質問も思い出し、A先生は指導医であるほむほむ先生のデスクを訪れました。
A先生「ほむほむ先生、今ちょっとよろしいですか?赤ちゃんの睡眠について、ぜひ先生のご意見を伺いたくて…!」
本記事を最後まで読めば、
・新生児をぐっすりでも起こして授乳すべき本当の理由
・いつから夜中に起こさず、朝まで寝かせてOK?
・「いつもの眠り」と違う、危険なサインの見分け方
これらの疑問にお答えできるよう執筆しました。
なぜ、新生児期(生後1ヶ月まで)は「起こして授乳」が基本になっているの?

ChatGPTで作画
A先生「ほむほむ先生、実はさっきSNSで、生後2ヶ月の赤ちゃんが8時間続けて眠った、という投稿を見かけたんです。たくさんの親御さんが関心を寄せていたんですが、もしこれが新生児だったら…と考えると、どう答えるのがベストか自信がなくて。」
ほむほむ先生「なるほど、タイムリーな話題だね。一度は聞かれる、親御さんにとっては切実な悩みのひとつかもしれない。A先生は、どう考えたんだい?」
A先生「はい。『体重が順調に増えていれば大丈夫』というのが一つの目安かとは思ったのですが、生後1ヶ月未満の新生児となると話は別なのかな、と。ぐっすり眠っているのを起こすのは可哀想な気もしますし…。」
ほむほむ先生「良い視点だねえ。結論から言うと、もし新生児期、つまり生後1ヶ月くらいまでの赤ちゃんが8時間続けて眠っていたら、それは優しく起こして授乳してあげるのが正解なんだ。」
A先生「やはり、起こすべきなんですね…!」
ほむほむ先生「寝かせてあげたいというその気持ち、よくわかるよ。でもね、新生児期に限っては、それが赤ちゃん自身を守ることになるんだ。そもそも、生まれたばかりの赤ちゃんの胃って、どのくらいの大きさだと思う?」
A先生「大きさ、ですか?どれくらいなんだろう…」
ほむほむ先生「正期産児の胃の容量は多く見積もっても20 mL、早産児で2mLくらいという報告もあるんだ [1][2]。だから一度にたくさん飲めないんだね。2~3時間ごと、1日に8回から12回という頻回な授乳が必要になる。ご家族にとっては大変な時期だけど、それだけ赤ちゃんの成長にとって重要ってことなんだよ。実際、ごく最近の2025年に発表された複数の研究をまとめた論文でも、新生児の連続した睡眠時間は平均で2.5時間ほどと示されている[3]。生理的に、頻繁に目を覚ますのが自然な姿なんだ。」
A先生「なるほど!科学的にも、こまめに起きるのが当たり前なんですね。つまり、新生児が8時間も眠り続けること自体が、例外的というか…少し注意が必要な状態かもしれない、ということですか?」
ほむほむ先生「そういうことだね。ただし、『機械による測定』と『睡眠日誌による測定』で評価した睡眠時間には大きな差がでているので、親御さんのイメージと本当の睡眠にはズレがあるかもしれないね [3]。それでも、保護者がつけた睡眠日誌でも生後2ヶ月の赤ちゃんが8時間以上寝るというのは “なかなか見られない”数値と言えるから、気をつけたほうが良いということになるよね。」
A先生「長時間眠り続けた場合、具体的にはどんなリスクがあるんでしょうか?」
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- 新生児の眠りに潜む「低血糖」と「脱水」のリスク
- 【月齢別】いつから朝までOK?判断の鍵は「体重増加」
- まとめ
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