肌はアレルギー治療の味方?それとも敵?鍵を握る皮膚のふしぎな話
小児科で研修中のA先生は診療で頭を悩ませていました。アトピー性皮膚炎が食物アレルギーのリスクを上げるという「経皮感作」を指導医のほむほむ先生に教えてもらったあと、今度は「経皮免疫療法」という、皮膚に貼る食物アレルゲンパッチで食物アレルギーの治療をするという論文を読んだのです[1]。
「なんか矛盾しているんじゃないかなあ…」
A先生は混乱してしまいました。
その日の夕方、指導医であるほむほむ先生にそのことを打ち明けると、「A先生、素晴らしい視点だね。それは重要なポイントだ。よし、今日はその『皮膚とアレルギー』が織りなす、不思議な物語を一緒に深掘りしてみようか」
本記事を最後まで読めば、
・皮膚がアレルギーの原因にも治療の舞台にもなる理由
・アレルギーの運命を分ける「皮膚の状態」の重要性
・アレルギー予防のために今日からできる具体的な行動
これらの疑問にお答えできるよう執筆しました。
ピーナッツアレルギーの子どもの多い国、少ない国。常識を覆した「イスラエルの謎」

ChatGPTで作画
A先生「先生、皮膚がアレルギーにとって、敵なのか味方なのかわからなくなってしまって、今回はそこを明らかにしていきたいです」
ほむほむ先生「A先生、ちょうど良い機会だから、今日はその『皮膚とアレルギー』の関係を、じっくり深掘りしてみようか。実は皮膚って、アレルギーの『原因の入口』にもなれば、『治療の舞台』にもなる、面白くて重要な臓器なんだ[2]。」
A先生「原因と治療…。まさに正反対ですね。以前先生に教えていただいた、ギデオン・ラック博士の研究が、その大きなきっかけになったんですよね?あの話に衝撃を受けて、論文を読み返したんです。」
ほむほむ先生「お、素晴らしいね!そう、彼の研究は、まさにアレルギー界の“天動説”を“地動説”に変えたような、大発見だった。そのきっかけとなったのが、イギリスとイスラエルでピーナッツアレルギーの子どもの数が10倍も違う、という観察結果だね[3]。」
A先生「はい、すごく印象的でした。当時のイギリスでは、アレルギーが怖いからピーナッツは離乳食で避けるように指導していたのに有病率が高い。一方で、イスラエルでは『バンバ』っていうピーナッツスナックを、ごく小さい頃から普通に食べているのに、有病率が極端に低い…。当時の常識と真逆の結果だったんですよね。」
ほむほむ先生「その通りなんだ。『危ないから避ける』という、誰もが信じていた“正解”が、実は間違いだった可能性が示された。この“イスラエルの謎”をきっかけに、『アレルゲンとの出会い方が重要なんじゃないか?』という新しい仮説に目を向けられ始めたんだよ。」
A先生「出会い方、ですか…。食べるか、食べないか、だけじゃないんですね。」
ほむほむ先生「そうなんだ。例えば、こんな研究もあるんだよ。ピーナッツをよく食べる家庭のハウスダストを調べたら、ピーナッツのタンパク質がたくさん含まれていた、という報告があってね。しかも、そのタンパク質は、アレルギーの感作、すなわちピーナッツに対するアレルギー体質を引き起こす力を持っていたんだ[4]。」
A先生「えっ!?じゃあ、食べていなくても、家のホコリの中にアレルゲンがあって、それに触れている可能性があるってことですか…?」
ほむほむ先生「そういうことになるね。そして、ここが重要なんだ。つまり、アレルゲンとの最初の出会いは、口からだけとは限らない。『どこから』『どんな状態で』出会うか。それが運命の分かれ道になるんだよ[2]。」
※本記事は、登録者1万人記念として、次の記事完成まで無料記事で公開いたします。次の記事が完成次第、サポートメンバー限定に変更いたしますことをご了承くださいませ。無料公開中はコメント機能をオフにしておりますが、サポートメンバー限定に変更以降は、コメント機能が解放されますので、サポートメンバーの方はご質問などございましたら、よろしくお願いいたします😌
『ほむほむ先生の医学通信』では、医療の前線で25年以上診療に従事しながら様々な学会で委員を務める小児科医が、医学知識をわかりやすく解説しています。無料登録で定期的に記事をお読みいただけるほか、サポートメンバーにご登録いただくと過去の記事アーカイブすべてにアクセスできます。皆様のサポートを子どもたちの健康に関する研究継続に役立てております。サポート、心より感謝申し上げます。
この記事は無料で続きを読めます
- なぜ?皮膚から入ると「敵」、口から入ると「味方」
- 警報発令!荒れた肌で起きている「危険信号」の正体
- 今度は治療の舞台へ!健康な肌を利用した開発中の治療法
- “警報OFF”が鍵!アレルギーを抑える細胞の正体
- 【結論】運命の分かれ道。アレルギーになる人、ならない人の違い
- まとめ
- 参考文献
すでに登録された方はこちら
提携媒体
コラボ実績
提携媒体・コラボ実績

