手洗いとアルコール消毒、どちらがよいか?手指衛生のエビデンス|第5回
皆さんは、食事の前に手を洗いますよね。
私達は『細菌やウイルス』の存在を知っていて、感染症の原因になることがわかっているからです。そして手指衛生が感染症のリスクを減らすことが示されたのは、細菌の存在が証明される前からでした。
ハンガリーの医師であるイグナーツ・センメルワイスは、手指衛生の提唱者として知られています[1]。
イグナーツ・センメルワイスWikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%84
彼は、お産の前に手指衛生や消毒薬を使用することで、『産褥熱(さんじょくねつ)』の発生率が大幅に下がることを発見したのです[2][3]。
産褥熱とは、お産のときに細菌が腟や子宮などの産道に入り込んで感染が広がることにより少なくとも2日間以上の発熱が続く状態を指します。
産褥熱は19世紀半ばの病院では一般的で、死亡率は10%から35%もあったのです[4]。
お産により、多くの方々が亡くなる率が高い時代、手指衛生の考え方は、公衆衛生的にも画期的な出来事でした。もちろん現在では、センメルワイスの業績は認められ、「母親の救世主」や「感染制御の父」と呼ばれています[2]。
しかしセンメルワイスは、さまざまなバッシングに会いました。不遇な生涯をおくることになり収容された先の精神病院に看守に殴られて右手に壊疽性の傷ができ亡くなったのです。
センメルワイスの功績が広く受け入れられるようになったのは、彼の死後数年経ってからです。
ルイ・パスツールが細菌説を唱え、ジョセフ・リスターが衛生的に手術を行い、大きな成功を収めたからです。さらにドイツの産婦人科医グスタフ・アドルフ・ミヒャエリスも、1848年に塩素による手指衛生により、死亡率が大幅に低下したと報告しました[5]。
ルイ・パスツール Wikipediaより引用。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%B9%E3%83%84%E3%83%BC%E3%83%AB
ジョセフ・リスター Wikipediaより https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%BC%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC
そしてフローレンス・ナイチンゲールは1860年に、看護師は頻繁に手を洗うべきだとしていて、手指衛生の有効性を早くから認識していたことを示しています[6]。
フローレンス・ナイチンゲール Wikipediaより引用。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%81%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%AB
こんにちは。ほむほむです。
手洗いはきわめて重要な公衆衛生的な感染予防方法として知られています。
しかし提唱された当初は、思った以上に受け入れに時間がかかったのだなあと感じますよね。
では、手指衛生は、本当に感染症を減らす効果があるのでしょうか?
アルコール消毒と手洗いのどちらが普段の手指衛生により有効でしょうか?
手が荒れやすいのはどっち?
今回は、そんな手指衛生に関して、ちょっと深掘りしてみましょう。
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