子どもに適した虫よけ成分は?蚊に刺された時の知識を解説|第3回
私は昆虫の専門家というわけではありませんが、次年度の『今日の治療指針』という医学書で『昆虫アレルギー』というテーマを担当しました。
『今日の治療指針』というのは、どんな本かというと、世の中にはとっても多くの病気があるわけですが、さっと調べようというときにデスクにおいておくような辞書のような本です。
筆者撮影
薄い紙にぎっちり細かい字で書いてあった、厚さはスマホの幅くらいあります。
すごくどうでもいい話を導入にもってきましたが、それはさておき…
本来昆虫は、通常4枚の羽と6本の足を有する節足動物です。そのため、8本足であるダニ、クモは昆虫ではないということになるわけです。
一方、『虫さされ』というと、一般的にもっと広く捉えられています。
ハチ、ムカデ、クモなどの刺すタイプ(刺咬性)の動物による刺咬,カ、ブユ、アブ、ノミ、ダニなどの血を吸うタイプ(吸血性)の動物による吸血、ドクガなどガの幼虫との接触などによって生じる皮膚炎などがあります[1]。どうみても、『昆虫以外』が入っていますね。
そして夏になると、蚊に関する相談はすごく増えます。
屋内ではおもにアカイエカ、屋外ではおもにヒトスジシマカに刺されることが増えるからです。
そして『子どもが蚊に刺されると、とても腫れます』と尋ねられることもよくあります。
蚊は人間をもっとも殺している生物というように、病気を運ぶ生物でもありますし、掻き壊してとびひ(伝染性膿痂疹)になることも少なからずあります。
Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_deadliest_animals_to_humans
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今回は蚊が伝播させる病気についてご説明し、蚊にさされたときの個人差、そして虫除けの成分は何が良いか?といったところまで解説いたします。
そして、虫さされ、特に蚊に対する対策を考えてまいりましょう。
蚊が運ぶ感染症。
PhotoAC
蚊はさまざまな病気を運びます。
そして年間最大7億人が、蚊による感染症に感染し、100万人以上がなくなっています[3]。
とはいえ、人間の命をおぼやかすような感染症は、おもに風土病的に熱帯や亜熱帯地域で発生しています。すなわち、マラリア、デング熱、チクングニア熱、ジカウイルスなど、日本ではそれほど馴染みがない感染症です[4]。
しかし、国際的な旅行や移民により、これらの疾患はそれ以外の地域にも広がっています。とくに、地球は温暖化に向かっていて、これらの疾患を増やし、感染する範囲をひろげるのではないかと懸念されているのです[5]。
そして実際に、デング熱が日本で発生したという事例[6]や、蚊が媒介する日本脳炎は、特に関東以西で高齢者を中心に毎年10人未満ですが発症しています[7]。
そしてもちろん、それ以外の問題もあります。
『蚊に刺されると腫れて痒くなる』ということです。
そこで、蚊にさされたとき反応に関しての話をしてまいりましょう。