【閲覧注意】今まであまり診なかった、さまざまな皮疹を起こす手足口病が増えています
手足口病が流行しています。
手足口病とは、主に5歳未満の子どもを中心に流行するウイルス感染症で、皮疹と発熱が主な症状です。
この病気は毎年夏になると多くの子どもたちが感染し、今年は大きな流行になってきました。
手足口病は、手足や口の中に小さな水ぶくれができる病気です。
1957年にカナダで初めて報告されました。
そして1958年にニュージーランドで大流行し、原因がコクサッキーウイルスA16型だとわかり、1959年に「手足口病」と名付けられました。 [1]。
おそらく、多くの人は、このコクサッキーウイルスA16型による皮疹のイメージを典型的な手足口病と思っていらっやるでしょう[2]。
こんな感じですよね。
しかし最近は、このような皮疹だけでなく、さまざまな皮疹をみることが増えています。
そして、手足口病?と思うような皮膚の病変をみることもありますし、そして、手足口病がおさまったかなと思うころに、『爪が剥がれる』というような症状を起こす人を経験することもあります。
なぜ、このような症状を起こすことが増えているのでしょうか?
昔の手足口病と今の手足口病は、ウイルスの型が違う?
1969年に、より重症になりやすいエンテロウイルス71型がカリフォルニアで発見されました。このウイルスは1970年代以降、世界中で大規模な流行を引き起こしました[3]。
1990年代になると、東南アジアや東アジアを中心に手足口病が大流行し、エンテロウイルス71型による死者も増え、特に1997年のマレーシアでの流行では多くの人が亡くなったのです[4]。
そして日本で、今年流行している手足口病の原因ウイルスは、コクサッキーウイルスA6型が主になっています[5]。
コクサッキーウイルスA6型による大規模な流行は、2008年にフィンランドで起こりました[6]。
A6型は従来のウイルスとは異なり、全身に症状が広がったり、爪が剥がれたりする場合もあります。
すなわち、手足口病の原因ウイルスはさまざまあるものの、
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典型的な手足口病(コクサッキーウイルスA16)
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中枢神経の合併症の多い手足口病(エンテロウイルス71)
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今まであまり診なかった皮疹を起こしやすく爪が剥がれるような後遺症を起こすことがある手足口病(コクサッキーウイルスA6)
と変遷してきたわけです。
コクサッキーウイルスA6による手足口病では、爪が剥がれるような発生率は28.0%とう言う報告もあります[7]。
さらには、コクサッキーA6型による手足口病は、従来の手足口病と異なる、皮膚の発疹を起こすことがあります。
そして、患者さんばかりでなく、医師の診断を難しくするのです。
実際に、他の疾患を想定して手足口病に対する治療と異なった治療を行われることも起こっています[8]。
ですので、コクサッキーA6型による被典型的な皮疹を知っておく必要性がありますよね。
たとえば、こんな症状を起こすことがあります[9]。