尿の泡立ちは、病気のサインですか?
外来で、「おしっこに泡が立ってたりすることがあるんですけど、腎臓が悪いのでしょうか?」と質問されることがあります。確かに、心配になりますよね。
実は、おしっこの泡立ちは珍しいことではなく、勢いよくおしっこをした時や、少し水分が足りていない時など、特に心配のない理由で泡立つこともあります[1]
しかし、おしっこの泡立ちがいつも消えなかったり、毎回のように見られたりする場合は、体からの大切なサインかもしれません。
泡立ち尿の話題は、なんと、古代ギリシャの有名な医師であるヒポクラテスは、尿の表面にできる「泡」と腎臓の病気に関係があることに気づいていたとされています[2]。昔の人もおしっこをよく観察していたんですね。
実際に、尿の泡立ちは、腎臓の病気や糖尿病といった、注意が必要な状態が隠れている可能性もあります[3]。
今回は、おしっこの泡立ちと病気の関係に関して、解説します。
なぜ、尿は泡立つ?

ChatGPTで作画
おしっこが泡立つのは、主に物理的な原因と化学的な原因の二つが組み合わさっています。
物理的な泡立ち
水たまりに石を投げ込んだ時のように、液体に勢いが加わると、空気と混ざって泡ができますよね。おしっこの勢いや、便器の水面に当たる高さによって泡の量が変わります。
化学的な泡立ち
おしっこの中に、石けんのような性質を持つ物質が多く含まれていると、泡ができやすくなります。
特に重要なのがタンパク質です。腎臓は、本来、血液中の大切なタンパク質がおしっこに漏れないようにフィルターの役割をしています[4]。
腎臓のフィルターがうまく働かなくなると、タンパク質がおしっこ中にたくさん出てきて泡立ちやすくなるのです[5]。
タンパク質には界面活性作用があり、水の表面張力を下げる性質があります。このため、たんぱく質が多く含まれる尿は、トイレに排尿したときに泡が立ちやすく、またその泡が長時間消えにくいという特徴があります。
すなわち、おしっこの泡立ちがすべて病気のサインというわけではありません。たんぱく尿があるかどうかということになるわけです。
韓国で実施された研究では、尿の泡立ちを訴えた72人の患者さんを調査した結果、16人(22.2%)にタンパク尿が認められました[6]。

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