「手がかからない子」だと、自閉症の可能性がありますか?

子育てのなかで「手がかからなくて育てやすい」と感じるときに、自閉症スペクトラム障害(ASD)のサインが隠れているのかもと心配される方もいらっしゃるようです。「育てやすい」という感覚は、文化的な影響も受け勘違いされやすい点でもあり、単純化しにくいテーマと言えます。子どもの特性を正しく理解し、必要なサポートへとつなげるための知識を、会話形式でお伝えします。
堀向健太 2025.05.05
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忙しい外来が終わった昼下がり。研修医Aさんにほむほむ先生が呼び止められました。
質問があるようです。

研修医Aさん: よろしくお願いします。質問があったんですよね。

ほむほむ先生:はい、なんでしょうか?

研修医Aさん:小児科外来で親御さんから尋ねられることがあるんですが、「育てやすい子」っていますよね。あまり手がかからなくて、親御さんとしては助かる面もあると思うんですが…。

ほむほむ先生: ええ、そうですね、「育てやすい」「手がかからない」と感じるお子さんは確かにいらっしゃいます。親御さんの負担が軽いのは良いことではありますね。

Aさん: ただ最近、そういった「育てやすさ」が、実は自閉症スペクトラム(ASD)のサインかもしれない、という話を聞くことがあって、少し気になっているんです。実際のところ、どうなんでしょうか?

ほむほむ先生: なるほど、その点ですね。それは非常に重要な視点ですし、誤解も招きやすい部分です。今日はその「育てやすさ」とASDの関係について、少し詳しくお話ししましょうか。

Aさん: ぜひお願いします!現場で親御さんから相談されることもありますし、正しい知識を持っておきたいです。

ほむほむ先生: わかりました。いたずらに不安を煽るのではなく、科学的な知見に基づいて、何がわかっていて、どこに注意すべきかを見ていきましょう。「手が掛からない=問題ない」と単純に考えてしまうことの危うさもありますからね。

Aさん: はい、よろしくお願いします。

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