「コレステロールフリー」は本当に体にいいの?
今月2本目の記事です。
これまで対話形式はすべて「ほむほむ先生」と「研修医A先生」が登場人物でしたが…
今回は初めての人物が登場します。
日曜日の午後、リビングでくつろいでいたK子さんは、スマートフォンでニュースを見ながら思わず声を上げました。
K子さん「ねえ、『超加工食品を100g食べるごとに病気リスクが増加』って記事が出てるんだけど[1]、こういう食品って、私達も食べてるの?」
隣でコーヒーを飲んでいたほむほむ先生は、妻のスマホの画面を覗き込みました。
ほむほむ先生「あー、その研究ね。特に最近、『コレステロールフリー』とか『体に優しい』って表示の食品が増えてるけど、そこにも通じる食品だよね。」
K子さん「そういえば、昨日買ったチーズも『コレステロールフリー』って書いてあったわ。体にいいと思って選んだんだけど…」
ほむほむ先生「それ、ちょっと見せてもらえる?実は、そこに大きな落とし穴があるかもしれないんだ」
本記事を最後まで読めば、
・食事のコレステロールは本当に悪者なの?
・代替チーズに隠された意外なリスクとは?
・本当に健康的な食品選びって何?
これらの疑問にお答えできるよう執筆しました。
そもそも「食事のコレステロール」は悪者なの?

ChatGPTで作画
K子さん「コレステロールフリーって聞くと『体にいい』って思っちゃうんだけど、違うの?」
ほむほむ先生「多くの人がそう思うのは当然だよね。でも実は、食事で摂るコレステロールって、昔考えられていたほど体に悪影響を与えないってことが分かってきたんだ[2]」
K子さん「え、そうなの?でもコレステロールって、血液をドロドロにして血管に悪いんじゃなかったっけ?」
ほむほむ先生「もちろん、高コレステロール血症は健康に不利益があるのは確かだよね。でもね、そもそも体内のコレステロールの7〜8割は、実は肝臓や腸で作られてるんだよ。食事から入ってくる分は全体の2割~3割程度とされているんだ[3]」
K子さん「へー、知らなかった。じゃあ、体の中で勝手に作ってるってこと?」
ほむほむ先生「そう。しかも体って賢くてね、食事からたくさん摂ると、体内で作る量を減らして調整してくれるんだ[4]。だから2015年には、アメリカでは健康な人のコレステロール摂取上限が撤廃されたんだよね[4]。日本の食事摂取基準でも、コレステロールの目標量は設定されていないんだよ」
K子さん「え〜!それって結構最近じゃない。ということは、この『コレステロールフリー』の表示って…」
ほむほむ先生「うん、少し古い健康観に基づいてる可能性があるね。実際、2022年にアメリカの大規模な研究で面白いことが分かったんだ。170万人以上を調べた結果、食事のコレステロールと死亡リスクには、ほとんど関連がなかったんだよ[5]。問題はもっと別のところにあるんだ。」
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- 「代替油脂」がもたらす新たな懸念って何?
- 見過ごせないリスク:「超加工食品」という新しい視点
- なぜ超加工食品は健康リスクを高めるの?
- 天然チーズと「もどき」製品の決定的な違い
- 本当に大切なのは「食事全体」
- まとめ
- 参考文献
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